知らずに損してませんか?建物を取り壊すなら補助金を活用しよう!

横浜市では一部の地域で建物を取り壊す際、取り壊し費用の一部を負担(補助金)してもらえる制度があります。

補助金を受ける、と聞くと「要件が厳しい」とか、「手続きが面倒だ」というイメージがありますよね。

確かに、手続きは複雑で必要な書類を準備することは、慣れていない人には難しく感じられます。

それでも、解体費の補助金を受けられる要件は幅広く、金額も大きいですので受けないなんてもったいない。

一戸建てを建築しようと土地を探している方。「土地(古家あり)」という物件情報を紹介されるケースがあると思います。古家付きで買い受けるわけですから、当然解体費用も負担しなくてはなりません。

木造の一戸建てであれば、解体費用は㎡単価10,000円〜20,000円程度かかります。2階建て100㎡の解体費用は概ね1,500,000円となりますので、決して安くはないですよね。

それが、一定の条件を満たすことで解体費用の最大4分の3が補助金として受け取ることができるのです。

1,500,000円の解体費であれば、およそ1,125,000円が補助金として受け取れるため、自己負担は375,000円で済みます。

これだけ大きな補助金は活用しない手はありません。

では、補助金を受け取るためには具体的にどのような要件になっているのか、また手続きが必要なのか説明します。

補助金が受けられる地域

横浜市中区では主に本牧地域全体が指定されています。添付の画像で確認してみてください。

なお、赤枠で囲われており、かつ赤色の地域は不燃化推進地域のため、補助金の上限が150万円、補助率4分の3となり、一般の補助対象地区よりも手厚い補助が受けられます。

(一般の補助地区は補助率が3分の2です)

赤枠以外の地域の建物は、残念ながら対象外です。

解体する建物の要件

どんな建物でも解体すれば補助金が受けられるわけではありません。

要件は下記いずれかに該当する建物です。

  • 建築年が昭和56年5月31日以前の建築物
  • 木造22年、鉄骨造34年、鉄筋コンクリート造47年を経過した建築物

1番目は、いわゆる旧耐震基準の建築物ですね。旧耐震基準は「震度5強程度の地震では、ほとんど建築物が損傷しない」としております。一方で、昭和56年6月1日以降に建築確認を受けたものは新耐震基準であり、「震度6強から7に達する地震でも倒壊しない」とされております。余談ですが、解体費の補助金制度に限らず、税金の減税(住宅ローン減税など)、各自治体が独自に定める住宅改修時の補助金制度などは、この耐震基準(旧耐震か新耐震)によって線引していることが多いですから、覚えておいて損はないです。

繰り返しになりますが、上記2つの要件のうち、どちから一方に該当すればOKです。

建築年月日の最も簡単な確認方法は、建物の登記簿謄本を見ることです。

登記簿謄本の中に新築年月日が記載されていますので確認してみてください。

申請者(補助を受ける者)の要件

申請できるのは、

  • 所有者(個人、自治会、中小企業の所有)
  • 3親等以内の親族

です。なお、不動産業者(宅地建物取引業者)が所有し除却するものは対象外です。

個人の方が申請されるケースでは、申請者の要件が問題になるケースは少ないと思います。

ただ、1点だけ注意していただきたい事があります。

借地上の建物を解体する場合です。

申請者以外に土地・建物の所有者がいる(共有である、借地である)場合には、「関係権利者承諾書」の提出が必要です。指定の書式に申請者以外の所有者の署名をもらうことが必要になります。

借地上の建物を買い受けて新築をしようと考えている場合、土地の所有者(地主)から関係権利者承諾書に署名をもらわなければならない、ということは覚えておいてください。

その他の要件

細かい要件はいくつかありますが、大事な要件として

  • 建物解体を行う事業者は市内事業者であること
  • 2者以上の見積もりを取得すること

があります。

これは、市内事業者2者以上の見積もりを取得して市内事業者へ発注する事が必要であるということです。

1者市内事業者の見積もり、1者市外事業者の見積もり、合わせて2者ではダメです。2者とも市内事業者の見積もりが必要です。

また、見積書の内訳も決められています。解体費一式◯◯万円、ではダメなんですね。

これこれこういう内訳で見積書を作成してください、ということを伝えなくてはなりません。

ちなみに、市内事業者かどうかは会社登記簿謄本を提出することで証明します。

見積書と合わせて解体事業者からもらわなくてはなりません。

手続きの流れ

最後に手続きの流れを確認しましょう。

1.事前相談

防災まちづくり推進課(横浜市庁舎7階)に相談に行きましょう。地域ごとに担当者がいますので、事前に電話で予約していけば確実です。

できれば、解体する建物の場所がわかる住宅地図と建物登記簿謄本を持っていきましょう。

相談の時に、今後の手続きの流れや必要書類を丁寧に教えてくれます。

2.見積取得

市内事業者2者に建物解体の見積もりを依頼します。

私は依頼する際に、「横浜市の補助金を使う予定である」ということをハッキリと伝えています。

そうすることで、

  • 詳細な内訳書が必要なこと
  • 会社謄本も欲しいということ
  • 相見積もりとなるので発注しない可能性があること

がもスムーズに伝わり、後々面倒なことにならずに済むと思っております。

解体の際には現場に立ち会って説明を受けます。解体前の現場写真も申請の際の必要書類に入っているため、様々な角度から外観の写真を取っておきましょう。

(横浜市の補助金を使う、と伝えていれば解体事業者さんが気を利かせて取ってくれます)

なお、建物解体費は補助金対象工事ですが、外構部分は対象外となることに注意してください。

建物と一体であれば認められることもありますが、内訳書で外構部分の工事費とある部分は工事金額から除外されます。

3.工事計画承認申請

見積書(2者以上)の他、必要書類をそろえて申請をします。

やはり、事前に電話で予約をしておくことをおすすめします。

申請後、承認が得られたら自宅あてに「横浜市建築物不燃化推進事業工事計画承認通知書」が届きます。

工事の実施場所や補助予定額などが記載されたA4サイズの書面です。

4.解体工事の発注

承認通知書が届いた後、見積をお願いした会社へ解体工事の依頼をします。

請負契約書を締結して、工事に取り掛かってもらいます。

なお、承認通知書が届いてから工事の発注をすることが補助金の条件になっていることに注意してください。

5.解体工事の完了

現地を確認して、写真を取っておきましょう。完了申請の際の必要書類になります。

(ここでも、補助金申請していると伝えていれば解体事業者さんが気を利かせて取ってくれます)

また、解体事業者さんから建物取壊証明書をもらいます。

これは、法務局へ行って建物滅失登記の申請の際に必要になります。

(滅失登記については詳しく説明しません。法務局にも相談コーナーがありますので、事前予約のうえ相談してみてください。親切・丁寧に教えてくれ、その場で登記手続きもできます)

当然のことですが、工事が完了しましたので解体費用の支払いが必要になります。補助金は交付申請後およそ1ヶ月後に振り込まれるため、解体費用は一旦全額立て替える事となります。

6.工事完了報告申請

やはり、事前に電話で予約を取ることをおすすめします。

必要書類は、契約書や領収書、現場の写真などです。契約書の日付と領収書の金額には注意してください。

発注は計画承認後という決まりですので、承認通知書の日付と請負契約書の日付が逆転しているとおかしな話になります。また、見積で提示した金額と、請負契約書、領収書の金額が異なっていると、これもまたおかしな話です。

ちなみに、完了報告申請をして終わりではありません。

なお、平成30年4月以降は完了報告時に

  • (建物滅失)登記完了証(コピー)
  • 閉鎖事項証明書(原本)

のどちから1つが必要になります。滅失登記を行うと登記完了証がもらえますので、その写しを持っていきましょう。

完了報告後、自宅あてに「横浜市建築物不燃化推進事業補助金交付決定兼補助金額確定通知書」が届きます。

7.補助金交付申請

交付申請書を提出します。交付申請書には補助金の受取口座を記入します。

交付申請書提出後、およそ1ヶ月後に指定した口座に着金となります。

これで手続きが完了です。

お疲れ様でした。

最後に

事前相談から補助金の交付申請まで、最低でも4回は相談窓口へ行かなくてはなりません。

(郵送でも可、と言ってくれますが、手続きが遅れると色々面倒なので行った方が良いです)

そのため、一般の方が自分で申請するのは確かに手間がかかり面倒です。

また、解体の見積を依頼して現地立会いをすることや、法務局へ必要書類を取得しなければなりません。

そこで、当事務所ではこれら一連の手続きをサポートさせていただいております。

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